「求められる人物像(Requirement)」を定義する ~事例から学ぶ、プロダクトマネージャーのキャリアラダー設計⑤~

本記事は「事例から学ぶ、プロダクトマネージャーのキャリアラダー」第5回の記事です。興味を持たれた方はぜひ他の記事もご参照ください。
第1回:キャリアラダーの定義と参考事例の紹介
第2回:役職と給与グレードを整理する
第3回:職務定義を作成する
第4回: 「期待される役割(Responsibility)」を定義する
第5回: 「求められる人物像(Requirement)」を定義する(本記事)
第6回: 職務定義の設計プロセス
はじめに
ここでは職務定義の「求められる人物像(Requirement)」について、GitLabの事例をもとにどういったことがどのように記述されているか見ていきます。
求められる人物像(Requirement)
「求められる人物像(Requirement)」に前回定義した、「期待される役割」を実行できるために求められる能力を記述します。
実行に必要な能力を経験・知識・マインドセット・スキルに分解し、採用するときにどういった人物像だったら採用できるかイメージできるぐらい具体的に記述することを目標にしましょう。
経験
当該役職に就くにあたって、過去にどういった経験や実績を上げていることが求められるか記述します。
GitLabにおけるプロダクトマネージャー(PM)、グループプロダクトマネージャー(GMP)、エクゼクティブ(CPO)に求められる経験を横比較しながら、どういったものを記述するべきか理解を深めてみましょう。

GitLabのプロダクトマネージャーの役職ごとに求められる経験
プロダクトマネージャー職の最初の役職である「PM」において求められる経験は「プロダクトマネジメントの経験」のみで、事業ドメインに関するDevOps関連の経験は必須ではなく、ボーナスポイントとして、「あれば尚良し」という立ち位置で定義されています。これは他業種で経験を積んだプロダクトマネージャーであっても、積極的に採用したいというGitLabの姿勢を表しているものと思われます。
グループプロダクトマネージャー(GMP)になると事業ドメインに関する経験とマネジメント経験も求められるようになります。
プロダクトマネージャー職の最高位に当たるCPOともなると、幅広い職務経験に加えて、「四半期ごとに25%以上のハイパーグロース経験」といった非常に高度な実績も求められます。
このように、各役職に合わせて、プロダクトマネジメント、事業ドメイン、マネジメントに関する経験と高位の役職であれば実績もどのようなものが適切か検討してみてください。
知識
知識は主に、他業種や多職種で経験を積んできた人物が当該役職にチャレンジするにあたって、足りない経験を保管する意味合いで記述する傾向があります。
GitLabの例を見てみると、

GitLabのプロダクトマネージャーの役職ごとに求められる知識
となっており、事業ドメインに対する理解が求められています。
CPOクラスになると知識に対する記述はなく、代わりに経験と実績が求められます。
未経験のPdM職を募集したり、アソシエイトPdMを設置したい場合は、知識としてプロダクトマネジメントに対する理解を具体的に記述すると良いと思います。
マインドセット
マインドセットには企業の大切にしている価値観をどのような形で従業員に体現してほしいかを記述します。これはいわゆるブリリアントジャークを採用しないための評価基準として大切になります。
GitLabでは以下のように定められています。

GitLabのプロダクトマネージャーの役職ごとに求められるマインドセット
GitLabの価値観に共感していることを初めとして、自身の特性から他者との関わり方まで様々な観点で記述されており、求められているプロダクトマネージャーの人物像が非常に具体的にイメージできるかとおもいます。
役職が上がるにつれて項目が少なくなっています。
これは、高位の役職では下位職で記述されているマインドセットが実践できていることは当たり前であり、実践できていないものは高位の役職に昇進することができない仕組みとなっているからと考えられます。
それでもなお、CPOのマインドセットとして、「どこに住んでいてもリモートライフスタイルに意欲的であること」が記述されていることは興味深いです。
GitLabが自身の企業文化の一つに「All Remote Work」を掲げ、大切にしていることを意識させるためと思われます。
スキル
スキルには「期待される役割(Responsibility)」を実現するうえで求められるスキルをハードスキル・ソフトスキル両面で記述します。
GitLabではプロダクトマネジメント職に共通して求められるスキルと各役職で求められるスキルをそれぞれ定義しています。

GitLabのプロダクトマネージャーの役職ごとに求められるスキル
GitLabでは求められるスキルの多くは共通の項目で、プロダクトマネジメント職の4つのコアバリューに対応する形で記述されています。
共通スキルは専用のページにて、スキル学習に必要な様々なリソースが提供されています。
https://handbook.gitlab.com/handbook/product/product-management/learning-and-development/
包括的なスキルリストと学習用リソースを提供することで、従業員の視座を上げ、能力向上を目指しています。
優れた職務定義に記載されている内容を具体的に説明してきました。
次回は、どのようなプロセスで、自社独自の優れた職務定義を作り上げていくか説明します。