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役職とグレードを整理する ~事例から学ぶ、プロダクトマネージャーのキャリアラダー設計②~

本記事は「事例から学ぶ、プロダクトマネージャーのキャリアラダー」第2回の記事です。興味を持たれた方はぜひ他の記事もご参照ください。

第1回:キャリアラダーの定義と参考事例の紹介
第2回:役職と給与グレードを整理する(本記事)
第3回:職務定義を作成する
第4回: 「期待される役割(Responsibility)」を定義する
第5回: 「求められる人物像(Requirement)」を定義する
第6回: 職務定義の設計プロセス

はじめに

ここでは「プロダクトマネージャーの役職とグレードの整理」について説明します。
プロダクトマネージャーの役職とグレードを整理することで、以下の点を確認することが目的です。

  • 職務定義を作成する対象役職を洗い出す
  • 各役職のグレードを概観して求められる責任や業務の範囲のイメージを掴む
  • 会社が想定するプロダクトマネージャーのキャリアパスがキャリアラダーとして表現できているか確認する

役職とグレードを整理する

プロダクトマネジメント職の役職のグレード(多くの場合は給与グレードに該当します。)を縦軸に、ManagemetとIC(Individual Contributor:個人貢献者)を横軸に取り、プロダクトマネジメント職の各役職がどこに位置するかマッピングして整理します。
例えば、GitLabでは以下のように整理できます。

The GitLab Handbookより筆者作成

整理と検討のポイント

IC(個人貢献者)とManagementでキャリアパスが別れているか

プロダクトマネージャーの特性は千差万別であり、マネージャーとして多くのプロダクトマネージャーを束ねて成果を上げることに向いているケースもあれば、個人として専門性を突き詰めることで企業への貢献を最大化できるケースも多くあります。
そのため、昇進のキャリアパスをマネジメントへの一本道ではなく、IC(個人貢献者)としてのキャリアパスも用意されているか確認してみましょう。

同じ役職において同程度の業務や責任範囲になっているか

役職の階層は、エグゼクティブ層(CPOやVPoP)、ミドルマネジメント層(グループプロダクトマネージャー)、IC層(プロダクトマネージャー)の3階層に大きく分類できます。

組織の規模やプロダクトのヒエラルキーに応じて、各階層に上級職(シニア職、プリンシパル職)や下級職(アソシエイト職)を設置して、同じ役職においては責任や業務の範囲が同程度になるように設計しましょう。

例えば、社内に「成熟したプロダクトA」と「新規事業プロダクトB」があるとします。
「成熟したプロダクトA」においては特定の機能のエンハンスを期待されており、「新規事業プロダクトB」においては戦略立案からロードマップ作成まで期待されることが多いのではないかと思います。

この2つのプロダクトを担当しているプロダクトマネージャーが同じ役職となると、責任範囲が全く異なるにも関わらず、同じ評価軸で評価されてしまうため、評価での不公平感が生まれてしまいます。
職務定義も一つの役職の職務定義に個々のプロダクトフェーズを考慮しなくてはならなくなるため、非常に煩雑で限定的な定義になってしまいます。
そういった事態を防ぐため、シニアプロダクトマネージャーを設置し、新規事業プロダクトBを担当させるなどして同じ役職であれば、同程度の責任や業務の範囲が同程度になるように調整しましょう。

プロダクトマネージャー レベル1, レベル2, レベル3のように役職を数字の連番で設定しているケースもしばしばありますが、筆者は役職ごとに適切な名前を与えるべきと考えます。
数字の連番だと、違いが分かりづらく、その従業員のはたすべき役割が社内外において不明瞭であるためです。

グレードと役職は分離されているか

すべてのグレードに対して、役職を用意する必要はありません。

例えば、GitLabのプロダクトマネージャー職はグレード7から始まりますが、マネジメント職はグレード9から始まります。
グレード7相当のマネジメント職は存在しません。
マネジメント職はプロダクトマネージャーを数名、配下に持ち、プロダクトマネージャーを指導・管理する役割を持ちます。
そのため、ICのプロダクトマネージャーよりも広い責任範囲と高い専門性が求められるため高位のグレードから開始するように設計されています。

逆にマネジメント職ではグレード11が存在しますが、ICのプロダクトマネージャーではグレード11は存在しません。
これは、マネージャーとして多くの部下を率いて成し遂げられるビジネスインパクトを、ICのプロダクトマネージャーが同等の成果を出すことが、プロダクトマネジメントの職務性質上、実現が困難なためと思われます。

職種ごとに異なる設計になっているか

異なる職種(エンジニアやセールスなど)では個人で果たせる貢献の幅、業務や責任の範囲が大きく異なります。
そのため、役職とグレードの設計は職種ごとに個別に設計する必要があります。
比較のために、GitLabにおけるエンジニア職の役職と給与グレードを見てみましょう。

The GitLab Handbookより筆者作成

プロダクトマネージャー職と比較して、エンジニア職の役職の種類とグレードが大きく異なることがわかると思います。

同じ「マネージャー」という役職であっても、プロダクトマネージャー職はグレード9から、エンジニア職はグレード8からとなっています。
職種によって求められる業務や責任範囲が異なるため、グレード設定にも違いが生まれます。

役職についても、エンジニアは個人貢献者として企業に貢献できる幅が大きいため、高位の役職が存在します。
GitLabにおいて、エンジニアリング職のICの最高位「Engineering Fellow」はグレード12と設定されており、これはManagementのVPクラスに相当します。これに比べて、プロダクトマネージャーのICの最高位はグレード10までしか用意されていません。

もっと事例を知りたい方のために

今回はGitLabを中心に、プロダクトマネージャーの役職とグレード設計の整理を見てきました。
以下のスライドで、アメリカのビックテック系におけるプロダクトマネージャーのキャリアラダーをまとめた資料が公開されています。
2016年公開と少し古いですが、もっと多くの事例を知りたい方はこちらも参考にしてみてください。

https://www.slideshare.net/slideshow/product-management-career-ladders/62832614


つづきを読む
職務定義を作成する 事例から学ぶ、プロダクトマネージャーのキャリアラダー設計③