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OKRが役立たずだと思っているあなたへ、5つの改善提案

OKRが「憂鬱な儀式」だったあの頃

会社員時代も、独立してからも、OKRによる目標設定と進捗管理は日常的に取り入れていました。しかし、何度やっても、OKRが自分の血肉のように馴染む感覚がありませんでした。むしろ、目の上のたんこぶのように、邪魔くさく憂鬱で価値のない形式的なもののように感じていました。

まず、OKRの進捗を報告するための資料作成に時間がかかってしまいました。今週実施したアクションの一覧表を作成して、進捗率がどれだけ進んだか、進捗率の進みが悪い場合は、差し込みアクションがどういう物があって、着手できなかったかを説得力ある形で説明して。。。。という資料を毎週作って報告していました。

そうやって、憂鬱な気持ちを押し込めて、“万全”の準備を整えて、OKRの進捗を報告する定例会に望んでも、参加者の反応は芳しくありません。ただ、それは報告する前から自分でもわかっていました。「こんな詳細なアクションリストを報告されても、『ふーん、じゃあ引き続き頑張ってね。』としか言いようがないよな」と。

途方もない徒労感だけが残りました。 一度立ち止まり、自分のOKRは何がまずいのか振り返える必要があると感じました。『Measure What Matters』を改めて読み直したり、読んだ内容を普段の業務で実際に使ってみることで、5つの改善案が浮かび上がってきた。

OKRの運用変更は得てして全社規模の変更になりがちですが、この5つの改善案は担当者レベルから始められるものばかりです。

OKRに以下のような感想を持っている人にぜひ読んでいただき、日々のOKRが少しでも有意義なものに改善してもらえると嬉しいです。

・OKRに消極的でやらされている感を感じている方
・OKRが形式的で日々の業務とは全く関係ないと感じている方
1on1がただの雑談や愚痴を話す場になっている方

設定編

提案1 : OKRの半分を担当者が決めてみる

OKRを設定するときはマネージャーが主導せず、担当するメンバーやチームに主体的に決めてもらいましょう。

すべての目標(O)と主要な結果(KR)をマネージャーが主導して決めてしてしまうと、担当するメンバーやチームの意欲は著しく削がれ、生産性は低下し、離職率は増加してしまいます。
少なくともすべての主要な結果(KR) 担当するメンバーやチームが主体的に決めるようにサポートに徹してください。可能であれば、いくつかの目標(O)も担当するメンバーやチームが決めるのが理想的です。

目標(O)は本来、会社の全社OKRと担当者自身のキャリアの両方に貢献できるものとなるように調整しながら設定します。
はじめのうちは担当するメンバーやチームが示すOKRは会社の方針にアラインしていなかったり飛躍があったり、うまくいかないことがほとんどだと思います。
しかし、マネージャーは”適切な”目標設定に誘導したい気持ちをぐっと抑えて、「定期的なCFR」を通じた情報提供とコーチングに徹して、メンバー自身で適切なOKRを設定できるように辛抱強くサポートしてください。

1on1をただの雑談で終わらせない。OKRシステムのもう一つの柱「CFR」について

提案2 : 主要な結果(KR)を「成果」で定義してみる

以前書いた記事、「『Measure What Matters』の学ぶOKRシステムの実践マニュアル」でも少し記載したのですが、主要な結果(KR)は「活動」ではなく、「成果」 を書いてみましょう。

活動とは「相談する」「分析する」「参加する」といった言葉で表現され、成果を上げるための過程の行動を指します。
成果は活動がエンドユーザーや会社にもたらす結果を指します。
主要な結果(KR)を定義するとき、活動と成果では次のような違いが生まれます。

「活動」と「成果」の違い

主要な結果(KR)を活動で定義すると次のようなことが問題になってきます。

  • 達成率の計算が大変 : 活動の達成率は<完了したタスクの件数・総工数>÷<計画したタスクの総数・総工数>で計算します。完了に必要なタスクをすべて計画時に洗い出すことは非常に困難なので、期中にタスクが増えたり減ったりすることがしばしばあります。加えて、タスクによっては重いタスク、軽いタスクがあり、重み付けも考慮する必要があります。これらをすべて考慮して達成率を計算するには非常に時間がかかり、毎週報告することはとても骨の折れる作業となります。
  • 適切なサポートを受けづらい : 活動の達成率は「タスクによる重みが異なる」、「実施中もタスクリストは都度変更される」という特徴から、期が終わりに近づくまで達成可能かどうか予測することができません。 そのため、マネージャーはOKRが順調なのかどうか判断することができず、適切なサポートを提供することができません。
  • 担当者のモチベーションが下がる : 最も大きな問題がこれだと思っています。主要な結果(KR)を活動で定義していると、OKRの定例報告の場では、「何を実施したか・何が残っているか」を報告することが大部分を占めることになりす。多くのマネージャーにとって、詳細すぎる報告になるので「引き続きがんばってください」以外のフィードバックを提供することが困難です。もし、報告内容を正確に理解し、ヌケモレを指摘できたとしても、それはマイクロマネジメントの場になってしまい、OKRが形骸化してしまいます。そして最も悪影響を受けるのがOKRの担当者です。せっかく自らの意思でOKRを設定しても、事細かくタスクの実施状況を報告していると、自律性が失われ、やらされている感を感じるようになり、OKRの達成に向けたモチベーションがすっかりなくなってしまいます。

以上のことから主要な結果(KR)は活動ではなく成果で定義することが望ましいです。
もちろんすべての主要な結果(KR)を成果で適切に表現できるとは限りません。成果で表現しようとすると、活動や目的(O)との関係性が薄くなってしまい適切でないケースもあります。そういった場合は、活動を主要な結果(KR)として定義してもいいと思います。
大切なのはバランスで、主要な結果(KR)を活動で定義しているなと思ったら、成果に書き換えられないか、一度検討してみてください。

提案3 : 主要な結果(KR)を「変化量」で定義してみる

主要な結果(KR)を期末の累積量ではなく、1週間や1ヶ月といった一定期間の変化量で定義してみましょう。期末の累積量というのはというのは例えば、「第二四半期終了時にMRR5億達成する」といったもので、一定期間の変化量というのは「MRRを毎月1000万増加させる」と言ったものです。

累積量を主要な結果(KR)として定義すると何が問題なのでしょうか?それは期末が近づくまで達成状況が順調なのかサポートが必要なのか直感的に判断できないことです。
例えば、「夏休みの40日間で漢字ドリルを50P終わらせる」と目標を立てたとき、夏休み10日目で5Pまで完了している状況が順調かどうか直感的に判断することは難しいです。後半になってまとめて終わらせるんだと主張するかもしれないです。そう言われてしまったら、明らかに遅れているとわかるまでサポートを率先して提供することは控えざるを得ません。しかし、明らかに遅れているとわかった時点でサポートは手遅れになってしまいます。これが「1週間で漢字ドリルを10P終わらせる」という目標が立っていれば、毎週毎週、遅れているのか順調なのか、すぐに分かり、サポートも迅速に行えます。

変化量を主要な結果(KR)として定義するもう一つの良い点は、小さく始めるリーン開発思考が必要になる点です。
変化量で主要な結果(KR)が定義されていると短い一定期間内に漸進的にアウトカムを出さなくてはならなくなるので、期末に向けた一発逆転ホームランのような考え方はできなくなります。不格好でもいいから顧客に価値貢献できるものを最速で提供する思考が自然と身について行くことになります。

運用編

提案4 : 週に一度、OKRをトラッキングしてみる

あなたが設定したOKRは期初に設定した後、一度も達成状況を共有することもなく期末に形だけ振り返るような運用になっていませんか?そうである場合、これからはぜひ、週に一度は関係者を集めてOKRの達成状況をトラッキングしてみましょう。

関係者全員で期中に何度も達成状況を共有し、課題を見つけ、対策を実施することでOKRは初めて真価を発揮することができます。期中のトラッキングこそがOKRの本質です。
トラッキングの詳しい内容は以下の記事をご参照ください。

「Measure What Matters」に学ぶOKRシステムの実践マニュアル

1on1をただの雑談で終わらせない。OKRシステムのもう一つの柱「CFR」について

提案5 : トラッキングする定例会では「進捗」を共有しない

提案4ではOKRの定期的なトラッキングの重要性を説明しましたが、OKRの達成状況を共有する定例会で重要なことがあります。それは、「進捗」ではなく「主要なチャレンジとその評価」を共有するようにしてください。

「進捗」とは期間内に実施した詳細なアクションリストとKRの達成状況を指します。

今週はA社から受注をいただき、B社・C社から問い合わせがあったので、初回面談を開催しました。売上目標としては110%となっており、現在のところ順調です。

「進捗」ベースの共有例

「主要なチャレンジとその評価」とはOKRを達成するために実施した新たな取り組みの中で特徴的なものと実施結果が良かったのか悪かったのか、困っていることはなにかあるかをまとめたものを指します。

MRRを毎月1000万増加させるために、説明資料・営業戦略を顧客ペルソナごとに作成しました。この施策のおかげでA社から無事に受注をいただくことができました。B社・C社から問い合わせがあったので、顧客ペルソナの判定をしたいのですが、既存のお問い合わせフォームでは十分にペルソナの特定ができず困っています。開発チームに改修の依頼ができないか相談したいです。

「主要なチャレンジとその評価」ベースの共有例

「進捗」ベースで共有することの問題点は、聴衆である関係者から有益なアドバイスやサポートを得ることが困難なところです。
個別具体のアクションを共有されても、多くの関係者にとっては重要な情報でもなければ理解できるものでもありません。有益なフィードバックを提供するためには、「つまりどういうことなのか?」を関係者自身が考え、提案をする必要がありますが、関係者にとって認知負荷が非常に高いため、多くの関係者は途中で話を聞くのを諦めてしまうでしょう。

加えて、詳細すぎる進捗の共有は共有に必要な資料の作成コストを増加させ、報告する義務感を醸成します。
せっかく主体的にOKRを設定し、主体的にOKRを共有し他者からフィードバックを求めていたにも関わらず、共有のフォーマット一つで報告者からOKR達成への自律性を奪い、モチベーションを下げてしまうことになってします。

そうならないためにも、定例会は「主要なチャレンジとその評価」に主眼をおいて共有するように意識してください。

おわりに

OKRが全然うまく機能していないな、と感じている方に向けて以下の5つの改善提案をしてみました。

  • 提案1 : OKRの半分を担当者が決めてみる
  • 提案2 : 主要な結果(KR)を「成果」で定義してみる
  • 提案3 : 主要な結果(KR)を「変化量」で定義してみる
  • 提案4 : 週に一度、OKRをトラッキングしてみる
  • 提案5 : トラッキングする定例会では「進捗」を共有しない
    ご自身のORK改善に向けて一つでも取り入られそうな提案があれば幸いです。

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